車輌プロフィール
DN-01は、2008年3月に発売された、オートマチックトランスミッション搭載のスポーツクルーザーだった。最大の特徴は、独自の無段変速機構で、スクーターなどに用いられるVベルト式のオートマではなく、エンジンのクランクケース内に収められるほどコンパクトな油圧機械式自動変速機(HFT)を採用していたこと。それまで、クラッチレバーの操作が必要ない自動遠心を備えたスーパーカブC100(1958年)や、1977年にはトルクコンバータ式オートマを搭載した大型スポーツモデルのエアラ(CB750フォア系)を発売したように、二輪車のオートマチック化に取り組んできたホンダらしい、新しい提案だった。初出は発売から2年半前の東京モーターショーで、その2年後(2007年)のショーには「市販予定」として出品。半年後の2008年春に発売された。サメのようなスタイリングや、680ccのVツインエンジン、もっとも肝心の油圧機械式無段変速機構など、基本的な構成は、コンセプトモデルそのままだった。革新的なオートマチックトランスミッションを搭載し、話題をさらったものの、DN-01は翌年にカラーチェンジを行ったあと、早々とラインナップから外れていった。しかしながら、二輪車のオートマミッションとして、ホンダは、2009年9月にDCT(デュアルクラッチトランスミッション)を発表。VFR1200F(2010年)以降、複数のモデルに搭載され、エアラ以来の悲願、「オートマの大型スポーツバイクというジャンルの普及」は達成された。DN-01がラインナップされていた当時、日本のAT限定大型二輪免許には、650ccまでという制限があり、オートマ車ながら、(制限なしの)大型二輪免許が必要だった。[追記]AT限定大型二輪免許は、2019年12月1日から施行された道路交通法施行令の一部改正に伴い、従来の「総排気量0.650リットル以下」という限定が撤廃され、排気量の上限なく、クラッチ操作を必要としない車両を運転することが可能になった。よって、DN-01は発売から10年以上を経て、AT限定免許で運転することが可能になった。