掲載日:2007年12月19日 試乗インプレ・レビュー
構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
パリダカレプリカXTZ750スーパーテネレをベースに、排気量を拡大したエンジンを搭載したTDM850がデビューしたのは1991年。ヨーロッパで需要の高い、ワインディングと市街地の石畳での快適性を両立させた「キング・オブ・マウンテンロード」をコンセプトに輸出が開始されたが、そのスタイリングは日本国内のライダーにも注目を浴びることになる。その後、エンジンや外観デザインにマイナーチェンジが加わり、2002年には排気量を900ccにアップ。吸気系にインジェクションを採用し、さらに曲線を強調した外観となってリニューアルされ、現在に至っている。そのスタイリングや車高の高さなどから、デュアルパーパスモデルという区分がされることもあるTDMだが、基本的にはアスファルトのマウンテンロードをターゲットにした、ロードモデルである。
登場以来何度かマイナーチェンジ、モデルチェンジを繰り返しているTDMだが、スタイリングが変わっても、そのコンセプトは不変。フロントまわりにボリューム感を集めた車体が、ヨーロピアンツアラーらしさを強調している。現在搭載されるエンジンも、DOHCツインであることは不変ながら、欧州排出ガス基準「EURO3」に適合させるため、エアインダクションシステムとキャタライザーを装備。ロングランでの快適性を進化させながら、環境性能にも配慮されている。エンジン心臓部にはアルミ鍛造ピストン、メッキシリンダー、浸炭コンロッドが採用され、ツインらしいパルス感やレスポンス、歯切れのいいエキゾーストノートなど、操る楽しさを存分に堪能できるはずだ。86PSの出力を持つエンジンに対して、ブレーキの制動力も秀逸。ハイスピードツアラーとして人気の高いため、フロントはダブルディスクブレーキを採用し、しっかりとした制動力が確保されている。
低く抑えられたシート高やスッキリとしたデザインのリヤまわりは、パッセンジャーの快適性やパニアケースの装着なども考慮された設計となっており、走りを楽しめるロングツアラーらしさがうかがえる。また、前後に採用されるキャストホイールは、YZF-Rシリーズと同様の手法で軽量化が図られ、ロードモデルとしてのパフォーマンスを追求している。ツリ目のヘッドライトなど、フロントマスクからタンクへと流れるラインは他のバイクにはない特徴だ。メーカーがニューエッジフォルムと呼ぶこのワイルドな外観は、ライダーが跨ることで全体のバランスを整えるコンセプトになっているという。
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