掲載日:2009年09月13日 試乗インプレ・レビュー
構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
ここ数年、便利な移動手段として注目を集めている原付2種スクーター。50cc以下のバイクに課せられる面倒な規制が無く、それでいて維持費はほとんど変わらないという利便性と経済性が高く評価され、市場の拡大に繋がっています。国内外のメーカー各社がさまざまなモデルを投入する中、ヤマハが満を持してラインナップに加えたのが「アクシス トリート」。“通勤快速コンパクト125”という明確なコンセプトが与えられたこのニューモデルは、どちらかというと大型化・ラグジュアリー化が進むこのカテゴリのバイクに一石を投じるモデルです。「通勤快速」に求められる機動性を実現するためのジャストサイズ、シンプルながら収納など必要な要素を満たすユーティリティ、低燃費で力強いエンジンなどを備えており、最後発モデルならではの完成度となっています。また、近年バイクの価格が上昇傾向にあるにも関わらず、22万500円というリーズナブルなプライスも見逃せません。余分な要素を省き、本当に必要なものだけをしっかりと詰め込んだアクシス トリートは、まさに開発コンセプトを体現したモデル。高スペックや豪華装備などにこだわるのではなく、毎日使うための「ちょうど良い」性能を追求した、原付2種スクーターのお手本のような1台と言えるでしょう。
アクシス トリートにまたがった第一印象は、「これ、50ccサイズなんじゃないの?」という驚きでした。実際に諸元を見ると、同じヤマハから発売されているジョグなどに比べると全長が明らかに大きいのですが、ほぼ50cc並みの低いシート高とコンパクトなライディングポジションで、見た目よりも小さく感じられます。これならば、小柄な方や女性でも気軽に乗れそうな雰囲気。それでいて足元やシートには余裕があるため、窮屈さは特に感じられません。今回のインプレッションでは男性二人でタンデムランを行ったのですが、後席側からの不満は特に無し。このコンパクトさとゆとりある居住性はかなりの好印象です。
さて、実際の走行です。最高速は決して速くは無いのですが、低速から中速にかけて程よいパワーを与えられているため、ストップ&ゴーの多い街中でも機敏に走ることができます。ただ、タンデムだと急な坂道で物足りなさを感じましたが、シングルでの通勤用途をメインに考えると十分に許容範囲と言えるでしょう。また、搭載されている空冷4ストローク単気筒エンジンの燃費は良好で、試乗ではリッターあたり36kmを記録しています。そして、もう一つチェックしておきたいのが乗り心地の良さ。サスペンションの設定自体はソフトな傾向ですが、コシのある味付けになっているので無駄な動きが少なく、荒れ気味の路面でも安定した走行が可能です。タンデム時もこの乗り心地の良さが効いており、男性二人でも十分な快適さをキープ。段差を超えるとき以外に衝撃を感じることはほぼありませんでした。
最後にユーティリティ性ですが、こちらはほぼ満点と言っても良い出来です。シート下収納はラケットのような長物こそ収められないものの、A4サイズのファイルやビジネスバッグなどが収納可能。追加でレインウェアなどを入れる余裕もあるため、日常で不足を感じることはあまり無いでしょう。もし足りないと感じたら、標準装備のキャリアにリアボックスを追加するのも面白いかもしれません。セキュリティ面では、キーシリンダーにシャッターが付属しており、鍵穴へのいたずらを防止するようになっているのもポイントです。車両サイズ、走行性能、利便性のいずれも過不足無く備えたアクシス トリートは、原付2種スクーターの新標準と言って良いポテンシャルを秘めています。
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