構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
写真/磯部孝夫
取材協力/パッセージ埼玉
構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
写真/磯部孝夫
取材協力/パッセージ埼玉
掲載日:2009年01月07日 試乗インプレ・レビュー
イタリアン・デザインの車体に搭載されたエンジンは、1速で全開にすると、最大トルク発生回転数に到達するあたりでふわりとフロントが浮いてくる。しかし、エンジンのマナー自体は非常によく調教されていて、ライダーを驚かすような面は一切無い。このあたりは、さすがにホンダCBの血統を感じさせる。軽い車重とストロークを抑えたサスペンションの組み合わせで、車体はリッターマシンと思えないほど軽くシャープに反応する。そして、バイクの要求に応えるように身体をシートに預けてスロットルを開けると、面白いように向きが変わる。常識的なスピードにとどまってさえいれば、このマシンの操縦性は自由自在だ。
バイクとの対話を楽しんでいると、このすばらしいデザインのバイクを走らせるのに適したステージが分かってきた。もちろんワインディングも悪くないが、僕の場合は、ビルの間を縫うように走る都市高速や、人がたくさん集まって、少々込み合っている街中を走らせたい。渋滞でオタオタしながら進む車の脇を、自由自在な操縦性を見せつけるように縦横無尽に駆け抜けたい。ホンダのバイクに乗ってそんな気持ちになったのは初めてだ。
Rをネームエンドに持つだけに、搭載するエンジンはパワフル。エンジンベースはレーシングフィールドで活躍することを責務として生み出された、2007年モデルのCBR1000RRだ。本家CBRは今年新設計のエンジンとなり最新型とは言えないが、最新型のボア×ストロークが76×55.1mmであるのに対し、07年式は75×56.5mmと若干ロングストロークで、低中速重視のセッティングには都合が良いはずだ。175PS/12500rpmから125PS/10000rpmの低中回転重視にリセッティングしているが、ベースとなった基本設計が高回転型ゆえに怒涛の低速トルクではない。それでも明らかにストリートで使う回転域でのレスポンスはCBRと比べ向上している。実用域の加速は鋭く、軽量な車体のフロントをリフトさせるには十分なパンチを持ち、高回転域まで力強く吹ける。スムーズな特性と相まって下から上まで楽しめるエンジンに仕上がっている。ヨーロッパなどで人気のあるアクションライド的な走りにはもちろん、日本の低中速の峠や、渋滞する街中など、加減速の多い走りにも向いている特性だ。
車体は近代的なディメンション。前後長が短いCBRエンジンと、コンパクトなアルミダイキャスト製モノバックボーンフレームの為、1445mmのショートホイールベースながら十分なスイングアーム長を確保している。リア回りのデザインの要である片持ちタイプのスイングアームは、リバウンドとプリロードアジャスターを装備するリアショックをリンクレスでマウント。リアホイールに掛かるトラクションをダイレクトに感じさせるので分かり易い。クイックな車体の動きはこの設定の影響が大きいのかもしれない。サーキットほど高負荷なシチュエーションより、峠などの俊敏さを狙っていることはエンジンと車体の双方からうかがい知ることができるし、実際のライディングフィールも同様だ。
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