バイクにとってデザインは性能と並ぶ重要な要素です。特にヤマハのバイクは国内メーカーの中でもデザインに対するこだわりがあり、多くのライダーを魅了しています。そもそもヤマハは、国内において初めて工業デザインを導入した2輪メーカーです。1955年に発売されたヤマハ初のバイク、「YA1」は、そのデザインを東京藝術大学の教授である小池岩太郎氏に依頼。実用車一辺倒だった当時の国産車の中において、大きな注目を集めました。その後ヤマハ車は一部を除き小池教授率いるGKデザイン研究所によってデザインされ、ライダーを惹きつける数多くの名車が登場したのです。現在、GKデザイン研究所はGKデザイングループ内のGKダイナミクスという会社になっており、ヤマハ車のデザインの大部分を今も担当しています。バイクにデザインを求めることが一般的ではなかった時代から、一貫してバイクとしての美しいデザインにこだわり続けたヤマハ車。今回はその中でも特に個性的な10モデルをピックアップしました。
「デザインならヤマハ」を感じさせる、個性あふれる10台のバイクをセレクト。GKダイナミクスが手がけた美しさや存在感は、ヤマハ車ならではの魅力です!
マッチョ・バイクのはじまり
今でこそ力強いデザインを全面に押し出したバイクは数多く発売されていますが、その原点となったのがVMAXです。1985年当時、ここまで過激なルックスとパワーを誇るバイクは他に存在せず、一躍大人気モデルなりました。みなぎるパワーを感じさせるスタイルは発売後20年を超える現在でも、決して衰えることのない魅力を感じさせてくれます。
有機的フォルムのアルプスローダー
ヨーロッパの山岳路を快適に駆け抜ける「アルプスローダー」というカテゴリの草分け的モデル、TDM850。オフロードバイクのようなアップライトのポジションに、ロードスポーツのような足回りという組み合わせだけでも異色な存在でしたが、大胆で有機的なデザインを取り入れた個性的なフォルムも、マシンの存在感を引き立てています。
トレリスフレームを採用したスポーツツイン
4気筒エンジンが主流だった国内スポーツバイクシーンに、ツインエンジンを搭載したスポーツバイクの面白さを伝えたエポックメイキングなマシン、TRX850。当時の国内モデルとしてはめずらしいトレリス構造フレームと、コンパクトで軽量なハーフカウルにより、大排気量スポーツというカテゴリの中でも一際目を引く存在となっていました。
生誕30年を超えても色褪せないモデル
SR400の初代モデルが発売したのは今から30年以上前。バイクとしての基本要素を過不足なく備え、これぞ2輪車の基本ともいえるシンプルで美しいデザインです。発売後ほぼ形を変えないまま継続生産されてきましたが、今のラインナップと比較しても古さを感じさせないたたずまいは、まさに「永遠のスタンダード」と呼ぶにふさわしいデザインです。
ジャパニーズクルーザーの代表格
それまでチョッパースタイルが主流だった日本のアメリカンバイクシーンに、ロー&ロングの堂々としたドラッグスタイルで一石を投じたのがドラッグスター400。大排気量モデルと肩を並べても見劣りしないスタイルと、細部まで行き届いたメッキパーツなどへのこだわりなどは、「普通2輪だから」といったクラス感を取り払ってしまうほどの完成度でした。
バイクにとって性能は重要なファクターですが、見た目にこだわるのも決しておろそかにはできません。クルマと違い、車種によっては骨格やエンジンまでむき出しにして見せるバイクにとって、「カッコいい」ということは、そのままライダーのモチベーションにも繋がるのです。ヤマハは国内メーカーの中でも特にデザインに力を入れており、新しいスタイルを模索するなかで時代を牽引するモデルを数多く作り出しています。今回選んだ10車種も、それぞれ新しいカテゴリやスタイルを生み出した名車たちです。バイクの歴史に刻まれるヤマハ・デザインに、あなたも一度乗ってみませんか?