掲載日:2009年11月04日 試乗インプレ・レビュー
構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
街中を走るデリバリー用バイクの中でも、一際目立つ屋根付き3輪スクーター。誰もが一度は見たことがあるだろうそのモデルこそ、ホンダのジャイロキャノピーです。以前原付バイク研究所で紹介した3輪スクーター“ジャイロX”をベースとして、雨や埃など天候の影響を軽減する大型のフロントスクリーンとルーフを装備したモデル。以前よりデリバリー業界の御用達スクーターとして人気を博してきました。近年では排気ガス規制の強化を受けエンジンを4サイクル化し、低燃費と低騒音を両立することでよりビジネスに向いた性能を実現しています。また、他の原付バイクには無い個性的なルックスと高い利便性によって若いライダーにも人気を博しており、現在はカスタムパーツも様々なメーカーからリリースされているほか、ジャイロをカスタムする専門店も存在するほどです。現行モデルの車両価格はあまりリーズナブルとは言えないものの、先代モデルの2サイクルエンジン搭載車は比較的安価に推移しています。長い期間実用バイクとして使用するなら、やはり4サイクルエンジンの現行型がおすすめですが、カスタムベースとして遊ぶなら対応パーツも考えると先代がベスト。使い方に応じて、購入する年式を検討する必要があるでしょう。
バイクといえば排気量の大小を問わず屋根が無いのが基本ですが、ジャイロキャノピー最大の特徴は通常無いものが付いているというところ。ベースこそジャイロXと共通ですが、実際に乗ってみると大きく感覚が違います。エンジンや駆動系は共通ですが、屋根という重量物が高い位置にあるため、コーナーリングの際にジャイロXより寝かしこみに勢いが付きやすく、予想以上に鋭いラインを通ることもしばしば。慣れてきて車体を寝かすタイミングが分かると、ビジネスライクな出で立ちからは想像できないエキサイティングな面白さを体験できます。一方、加速力は4サイクルの50ccという排気量に応じたもので、街中で使う分に不便を感じない適度なもの。ただ、やはり車重がそれなりにあるため、急な上り坂を走る時は少し物足りなさを感じることもありました。ただ、その分燃費は良好で振動も少なく、排気音も控えめです。ターゲットがビジネス中心であることを考えると、加速力は力強いものの燃費に劣り騒音も大きい2サイクルより、4サイクルの方が車両の性格にマッチしているのではないでしょうか。
さて、肝心の「屋根」の威力ですが、防風性においては原付だけでなくその他バイクを含めても最強と呼べるスペック。風の巻き込みも少なく、走行風が全くといっていいほど体に当たらないため、11月という初冬の季節でも薄手の装備で十分なほど。ハンドルもフェアリングの内側にあるため、手にもほととんど風が当たりません。以前からジャイロキャノピーに乗る人が軽装だとは思っていましたが、試乗することで非常に納得がいきました。今回は残念ながら(?)雨中での効果については体験できませんでしたが、これだけの防護性能があれば雨も相当防いでくれるのでしょう。また、屋根付きモデルだけの特徴として、ワイパーとウィンドウウォッシャーが付属しているのも特徴で、強い雨でも確実な視界を確保できるよう配慮されています。最後に積載能力ですが、ジャイロシリーズ最大の魅力であるだけに、不満は全くありません。リアキャリアには荷掛けフックが標準装備されているため、ツーリングネットでもしっかりと固定可能。いわゆる“宅配向けボックス”が無くてもかなりの荷物が搭載できます。ビジネス向けモデルというだけあり、実用性抜群のジャイロキャノピー。全天候に対応できるタフな原付を探しているなら、選択肢のひとつとして検討する価値のある1台と言えます。
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