【Page8】空極パワーはこれだ!バイク界最高峰は850馬力の世界

掲載日:2010年01月15日 特集記事ザ・パワーチューニング    

記事提供/2009年7月1日発行 月刊ロードライダー 7月号
Text/中村友彦/編集部

空極パワーはこれだ!バイク界最高峰は850馬力の世界

最高出力850ps、最高395km/h。凄すぎて想像できないが、一体どんな世界だろうか。AHDRAの最高峰、トップフューエルクラスで“クレイジー・タック”重松健さんがトップを張るその世界のことを、聞いてみた。


AHDRAはハーレーのみのドラッグレースだが、TF=トップフューエルクラスでは使用パーツのすべてがアフターマーケット製。TRP製削り出しケースを使う重松さんのマシンは、排気量3200cc、最高出力は850ps(実測できないので最高速やタイムから算出)。動弁形式は純正同様のOHV2バルブで、吸気は前後独立式(直噴インジェクターは1気筒2本ずつ)。リヤタイヤは14インチだが、現在17インチ(黒車両写真)もテスト中だ。重松さんが'08年10月に記録した6秒15は、惜しくも公式記録にはならなかった(AHDRAでは同じレース中に101%以内のタイムを出さないと公式にならない)が、全米を震撼させた驚異のタイム


'65年生まれの重松健さんは現在44歳

バイクのパワーの上限は、いったいどこにあって、それが見せるのはどんな世界なのだろうか。その世界で日本人が、トップを張っていた。重松健さんだ。彼が日常的に接しているのは、ゼロヨン6秒台前半、最高速370km/h以上、最高出力850psの世界。どうなんです?

「最初はただただ怖かったですけど・・・・・・慣れてくると、結構、普通ですよ。加速Gはすごいけど、視界はべつに狭くならない。いわゆるスピード感はほとんどなくて、対戦相手を含めた周囲の状況もよく見える。スピードが出てるなと思うのは、ゴールラインを通過してブレーキをかけてからです。あ、でも以前たまたまセッティングが上手くいって395km/hを記録したときは、さすがに視界が黄色くなりました(笑)。その後は370km/h前後だと、しばらくは妙にゆったり感じましたね」

 

'99年から続けてきたAHDRAへの参戦を継続する一方で、国内ドラッグレース/各種ハーレーインベントでも、その雄姿をみせてくれる重松さん

「車体を見れば分かるように、ドラッグレーサーは真っ直ぐ走ることを前提に作られています。でもこの真っ直ぐが、実はものすごく難しい。まずスタートではコースに対して車体を真っ直ぐするよう心がけるんですけど、どうやっても多少はズレる。で、このズレが1度や2度だったとしても・・・・・・、速度が速度ですから、そのままではあっさりコースから飛び出ちゃう。だからライダーは右に左にって体重移動しながら補正するわけですが、それができるのはだいたい半分の200m地点まで。そこから先は風圧との戦いになりますから、補正の余地はない。逆に言うと、200mまでにきちんと直進状態を作らないとタイムは出ないんです」

 

「ドラッグで絶対にやってはいけないのは、いきなりスロットルを戻すことですね。走行中はほとんどフロントが浮いているんですけど、浮いたフロント、ハンドルっていうのは微妙に右か左に切れてますから、着地した瞬間にハイサイドになって転倒する可能性がある。僕も1回それをやってコケそうになったことがあるんですけど、何とか地面を蹴って立て直しました。さすがに300km/hオーバーで路面を蹴ると、足がムチャクチャ痛かったです」(笑)

 


 

 

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