掲載日:2009年09月10日 試乗インプレ・レビュー
構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
以前、インプレッションでXR230を担当した時、軽くて扱い易いことにいたく感動したことを覚えている。低いシート高で足着きが良く、適度なアンダーパワーで思い切り振り回せることに気を良くし、取材にかこつけて河川敷を好きなだけ走ったのは楽しい思い出だ。今回インプレッションするのは、そのXR230をベースにしたモデル「XR230モタード」。あの面白いバイクにオンロード的足回りが組み合わされるとどうなるのか、とても興味深い。世間のモデルを見渡すと、モタードはどうにもスポーツ志向が強いように思えるが、XR230モタードはベースが比較的“ユルい”ため、他のように攻めてナンボという雰囲気では無さそうだ。ある意味既存のモタード色が薄いからこそ、気になるこのモデル。今回も思い切り遊ぶことで、その性能をじっくりと味わってみたい。
ベースとなったXR230にも言えることなのだが、XRシリーズの実力はスペックシートに現れない。これまで発売されてきた他モデルの諸元と並べてしまうと、ちょっと物足りないことは事実。でも、乗ってみるとXR230モタードはとても面白いバイクだということが分かるハズだ。まず、跨ると軽くて小さいことに驚く。XR230よりシート高が低くなっているので、おそらく身長170cm前後あるライダーなら、車両全体が自分の手のひらにすっぽりと納まってしまうかのような感覚で乗ることが出来るだろう。もちろん、低いシート高のお陰で両足がべったり着くのは言うまでもなく、乗っていて「扱い切れないかも…」と感じることは皆無。むしろ、バイク全体を自分のコントロール下に置いている気分になれるので、どうやって遊んでやろうかと思ってしまう。高速道路の全開走行などはさすがに苦手だが、扱い易い空冷単気筒エンジンは、街中で使う速度域では不満の無いパワーだ。これはもう、バイクが思い切り楽しんでくれと言っているとしか思えない。
実際、XR230モタードで走っていると、どこでも遊び場のように思えてくるから不思議なものだ。軽い体重移動でもしっかりと反応する車体は、ちょっとした「曲がり角」を「コーナー」に変えてくれるし、柔らかめのサスペンションはこちらからの入力がし易いため、それこそ思い通りに動かすことが可能。ワインディングに持ち込んでみると、そんな面白さがよりはっきりと分かる。絶対的な速度こそ無いが、自分のアクションに従ってくるくると向きを変えるライディング感覚はたまらない。アクセルもブレーキも全力で操作出来るから、ストレスを感じずに走り回れてしまう。初心者にとって扱い易いことはもちろんだが、ベテランなら多少の無茶も「えいやっ」とばかりにねじ伏せてしまえるから、おそらくどのレベルのライダーが乗っても面白いだろう。豪華な最新装備や人もうらやむスペックは持っていないかもしれないが、そういったものは走り出してしまえばあまり意味は無い。どこでも誰でも楽しめるこの気軽な性能こそ、XR230モタード最大の魅力ではないだろうか。
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