
待望のバイク用ドライブレコーダー「DRE-200」がKYBから発売された。ドライブレコーダーとは交通事故の状況を映像として正確に記録してくれるアイテムだ。ご存知の方も多いかもしれないが、すでにタクシーやトラック、バスなどプロの現場では搭載するのが常識となりつつあり、近年では一般の4輪ドライバー向けの製品も普及しつつある。
ドライブレコーダーがこれほどまでに注目されるのには理由がある。例えば、事故処理手続き。交通事故は一般的に、自分の一方的な過失で発生するもの、自分と相手の両方の過失で発生するもの、相手の一方的過失で発生するものの3つに分類されるが、その分析によって事故の過失がどちらにどれだけあったかが決定される。いわゆる「過失割合」というものだ。これにより保険金額などが決定される重要な判断だが、相手と自分の主張が食い違った場合、事故の正確な把握に時間が掛かったり、場合によっては事実とは違う判定が下されたりする可能性もは否定できない。こんなときに事故の様子が映像で残されていれば、それが重要な判断材料になるというわけだ。損失についてシビアなプロの現場で普及率が高いのはこうした理由による。また、バイクの交通事故ではライダーが負傷するケースが多い。痛みをこらえるのに精一杯のライダーに代わって事故の正確な状況を説明してくれるドライブレコーダーは、むしろバイクにこそ必要なアイテムだと言えるかもしれない。
さて、ここからはDRE-200の使い勝手と性能を徹底的に検証してみよう。今回は国産車2台、輸入車1台に実際にDRE-200を搭載してみた。DRE-200には付属品としてハンドルバーにクランプする「バイク用マウント」が同梱されるほか、オプションとして「ミラーマウント」が用意される。バイク用マウントはセッティングの方向性が限定されるため適合しないバイクもあるが、ミラーマウントを使用すればかなり多くのバイクに問題なく搭載できるはずだ。写真の通り、ホンダのVT1300CX、カワサキのW650、ハーレーダビッドソンのスポーツスターにも搭載可能だった。検証はしていないが、ミラーマウントに汎用品の金具を組み合わせればスーパースポーツなどにも搭載できるかもしれない。
搭載が完了すれば電源の確保は簡単だ。DRE-200は交換および充電可能なニッケル水素電池を内蔵しているため単体でも動作するが、ドライブレコーダーとして使うのであればやはり車輌のバッテリーから給電したい。この場合は付属品のバイク用電源ケーブルをイグニッションキーONで電源供給される場所に接続することで簡単に電源を確保できる。またバイクにアクセサリー電源用のシガーライターソケットが設置されている場合は、オプションとして用意される4輪車載用キットに含まれる4輪用電源ケーブルも使用可能。そう、後述するがDRE-200は4輪でも使えるのだ。
さて、準備が整ったらいよいよ走り出してみよう。バイクのバッテリーから給電する場合は、イグニッションキーをオンにしただけで録画スタートとなり、煩わしい操作は一切ない。内蔵バッテリーで作動させる場合も電源をオンにして録画ボタンを押すだけ。実に簡単だ。DRE-200は記録媒体としてSDカードを採用しており、常に録画状態で使うのが基本。容量が一杯になると古いファイルから自動的に上書きされるので、カードの空き具合を気にする必要もない。事故の場合は内蔵された3軸加速度センサーが衝撃や急制動を感知して自動的に録画がストップ、事故直前・直後の状況は保存されるという仕組みだ。当然、自身のライディングも映像として記録されているため、DRE-200を搭載していると自然とライディングも安全を強く意識したものとなる。これは意外な効果と言えるかもしれない。
しばらくテスト走行してパソコンで映像を確認してみると、「さすがドライブレコーダー」と感じたことがある。DRE-200に採用されているレンズが非常に広角で、かなり大きな交差点でもカバーできる画角となっているのだ。これであれば、万が一事故に遭遇しても状況をかなり正確に把握できるに違いない。また、広角レンズによる映像は迫力があり、これであれば自身のオンボード映像やツーリングの風景を残すのにも最適だと感じた。
DRE-200で撮影した実際の映像。広角レンズで広い交差点もカバーし、ドライブレコーダーとして十分な性能だと言える。右端にライトケースの反射が帯となって映っているが、これはセッティングを変更することで回避可能だ。
画期的なバイク用ドライブレコーダーとして登場したDRE-200。それではその優れた特徴の数々をご紹介しよう。まず、高い防水性を確保していること。バイクでの使用を前提に開発されたDRE-200は、各部に入念な防水処理が施され、カードスロットや電池室にアクセスするためのハッチも強固なロック式となっている。防水等級はIPX7相当なので激しい豪雨の中でも問題なく使用できる。そしてワイドで迫力ある映像。DRE-200を最も高画質の設定にすると640×480ピクセル(VGA)、30フレーム/秒での記録が可能だ。もちろん音声も同時録音される。記憶媒体のSDカードは16GBまで対応し、8時間以上の映像記録も可能。オンボードカメラとしても使えるほかAV出力を備えているので、USB接続したパソコンだけではなくテレビでも映像が確認できる。さらに、バイク用でありながら4輪にも対応する汎用性があること。
DRE-200にはオプションとして4輪車載用キットが用意されている。これは吸盤式ステーと4輪用電源ケーブルがセットになったもので、簡単にバイクから4輪への載せ替えができる。DRE-200が1台あれば、ドライブレコーダーをクルマ用に別途購入する必要もないというわけだ。また、イージーオペレーションを可能としたシンプルな操作ボタンの上には、視認性の高いLEDインジケーターと液晶表示が配置され作動状態が常に確認できるのもポイントだ。
ドライブレコーダーとしてこれだけの実用性を実現し、さらに楽しむためのオンボードカメラとしてのポテンシャルも秘めたDRE-200。愛車に搭載すれば、ライダーの守護神として十分な性能を発揮してくれるに違いない。