福岡県久留米市。この街に、51年もの歴史を持つカーディーラーがある。それは、地域からの信頼も厚い「野口自動車」だ。ここにモーターサイクル部門が誕生したのは3年ほど前のこと。ショップの名は「K-SPEC」で、国産現行車はもちろん、輸入車や高コンディションな国産旧車の販売を手がけている。
K-SPECを率いるのは、野口自動車グループ代表の野口健太氏。10代の頃は“峠小僧”としてTZRを駆り、久留米・高良山のワインディングでハングオンしていたという。2輪4輪とも造詣が深く、双方ともにドラッグレース参戦歴18年、44歳の現在でも精力的に参戦を続ける生粋のドラッグレーサーであり、エンスージアストである。
物心ついた頃からカウンタックをはじめとするスーパーカーに心惹かれていた野口少年は、会社にあったパッソーラに始まり、ゴリラ、前述のTZRなどを乗り継ぎ、昔憧れを抱いていたZ1やGS1000Sなどの旧車も所有することになる。現在もそれら国産旧車のみならず、デュアルパーパス系も所有するなど生粋のモーターサイクル・フリークである。
一介のバイク乗りとしてバイクを楽しむ中で、かつて野口氏はあるジレンマに悩まされた。「九州圏内でバイクを探すとき、『こういうバイクを置いてたらいいのに』と思うバイク屋があまりにも少ないんです。もし私がバイク屋をやるなら(九州の)他店には無いような、全国でも数が少ないバイクを置きたい、そう思った事がバイク部門を設立するキッカケになったのかもしれませんね」。
かくして誕生したK-SPECのショップ内に並ぶ車種は、どれも強い個性を持つ車両ばかり。「趣味性の高いバイクに乗ってらっしゃる方というのは、総じて強いコダワリを持ち、熱い想いを持つ人が多いと思います。その想いに応えたいと思っています」。
野口氏自身、自らのバイクに対しては徹底的に綺麗でないと気が済まない性分で、ボルト一本錆びていたくないと言う。そんなオーナーが営むショップだからこそ、店内に並ぶ旧車はどれも美しい当時の“憧れ”のままの輝きを放っているのだ。そしてそれこそが、K-SPECが誇るクオリティで、それは外観のみならず、内燃機などの内部についても例外ではない。
野口氏は「旧車だから壊れる」という定説めいた俗説を嫌う。壊れない旧車を売りたい。それが野口氏の理想だ。「もちろん、機械に絶対(壊れない)はないでしょう。だからこそ、壊れないようにきっちりと整備することを務めだと思っています」。
その高い品質に、リピーターも絶えない。「以前バイクを購入されたお客様が、増車の為に再びご来店いただくことも多々あります。バイク屋として、これほど嬉しい事は無いですね」。
販売する側の立場になっても、未だに一介の「バイク乗り」であることを自負しているという野口氏。とにかくお客さんに快調に乗ってもらいたい。それが野口氏の、K-SPECの最上の願いなのである。
K-SPECの特筆すべき点のひとつとして、納車後のアフターサービスの手厚さが挙げられる。販売車両は万全の納車整備を経てユーザーの手へと渡る。言わずもがな、そのクオリティは折り紙付きだ。しかし機械に「絶対(壊れない)」は約束できないものだ。万が一の不具合が発生した場合には、保証期間内の往復陸送費は同店負担で、迅速に修理が行われる。これは遠方のユーザーに対しても同じだ。
買取・下取にも積極的だ。車を購入する時に、自宅で眠っているバイクを下取してくれたり、その逆にバイク購入の際に車を下取してくれる。これも二輪四輪併売店ゆえの強みだと言える。
半世紀の歴史を誇る野口自動車が、四輪業界で長く培ってきた信頼のサービス品質。K-SPECにもそれらがフィードバックされているのだ。