ホンダ | HONDA FTR250
1990年代終盤のトラッカーカスタムブームを受けて、2000年に発売されたFTR(223)の「ネタ元」になったのが、1986年2月に登場したFTR250だった。FTRの名称は、アメリカで広く行われている「フラット・トラック・レース」の競技モデルをイメージしたことに由来するもので、軽く、スリムな車体にレスポンスがいいシンプルなパワーユニットを搭載する、という点で、フラットトラックレーサーと同じ考えかたで開発されたモデルだった。そのため、249ccの空冷単気筒OHC4バルブエンジンは、低中速域でのアクセル操作に素早く反応し、高回転も力強い、という特性を持ち、最高出力はリッター換算100psを越える27ps。ミッションは6段リターンで、ダート走行も似合う幅広タイヤを装着、前後ブレーキは油圧ディスク式だった。なお、エンジン始動方式によって2バリエーションが設定されていた。登場後、人気モデルとはならず、仕様変更を受けることもなく生産が終了したが、冒頭に記したブームに押されるかたちで中古車の市場価値が急騰し、FTR(223)としての「再登場」を果たした。しかし、FTR(223)は、姿かたちをFTR250に寄せたもので、両者にそれ以外の連続性は存在しない。