ヤマハ | YAMAHA XT600E

ヤマハ
 | YAMAHA
 XT600E

車輌プロフィール

ヤマハ XT600Eのユーザーレビュー・写真
 
癒され感に包まれた 爽快なスポーツ性

満足している点

雨上がりの箱根の旧道。私はバイクに跨り芦ノ湖目指して登っていく。やっと顔を出した太陽に濡れたアスファルトが黒く照らされる。大排気量シングルの歯切れの良い排気音と6000回転オーバーまで持続するトルク感に酔いしれる間もなく右の直角コーナーが迫る。この状況でバンク角に依存したコーナリングはリスクが高い。ブレーキングしつつクリッピングポイントを見定める。大きく右にハンドルを切れこませ一瞬で向きを変えつつアクセルを開け加速に移る。アクセル開度により緻密にコントロールされたトルクが心地よいパルスと共に路面を蹴飛ばしていく。スピードを載せる間もなく新道の下を潜った先の右の直角コーナーが迫る。クリッピングに向けての短いブレーキングをきっかけに右にハンドルを切れ込ませトラクションがかかったのを感じながら素早くしかしスムーズにアクセルを開けていく。6500回転でシフトアップし更にアクセルを開ける。上り坂の景色が後ろに飛んで行き左コーナーが迫ってくる。イン側が二段になったようなコーナーだ。アウトからエンブレを利かせ緩やかに左に円を書くように侵入する。一旦イン側の縁石に近ずくがそのままのラインでアウトにはらみつつ高い位置を目指す。センターラインから対向車線に飛び出す直前で左のステップに体重をかける。背筋を伸ばし腹筋に力を入れ上半身を左にひねるりハンドルを左に大きく切る。右の膝でタンクを左に押し込む。向きが変わり始めトラクションがかかったのを感じながらアクセルを開ける。バイクは鋭角的に向きを変えてコーナーから飛び出して行く。もちろんロードバイク程速くはない。しかし全身と五感を使いコーナーを駆け抜けていく。爽快なスポーツがこのバイクで楽しめるとは思っていなかった。ワインレッドに近い綺麗な赤いタンクに惚れて買った。正直言って鈍臭いツアラーだろうとなめていた。YDISによりアクセル開度に対して緻密にトルクが作り込まれたエンジンが、オフ車であるが故に高い位置に載っている。そして同クラスのオフ車に比べ短めのホイールベース。現行のxt660rに比べ明らかに弱いフレーム剛性。当時としても高性能とは言い難いサスペンション。それらが絶妙に組み合わされ、トリッキーさの全く無い癒され感に包まれつつも爽快なスポーツが楽しめる不思議な乗り味を作り出しているのだ。ヨーロッパで10年以上にもわたり売れ続けたのもそんな要因だろうか。

不満な点

US仕様はスパークアレスターにより性能が大きく殺されている。スパークアレスター内部の隔壁を撤去しキャブレターのセッティングをEU仕様をベースに煮詰めると大幅に性能が向上する。ノーマルの鉄リムは重さを感じるのでエキセルのアルミリムに替えたところハンドリングが劇的に軽くなった。

これから購入する人へのアドバイス

15年も前に生産が終了したバイクであり国内では逆車でしか販売されなかったので、流通している台数は極めて少ない。不人気なのでZ系の様に中古車が輸入されることも無いだろう。もしあなたがこの車両を欲しいなら程度の良い車両を見つけたら即買いではないだろうか。外装やデカールはまだ部品が出るのでシュラウドが割れている程度なら問題はない。

総合評価: 4
年式:2000年  燃費:一般道:22.0km/L  高速道:18.0km/L
投稿者:真佐
投稿日:2016-03-30 20:43:23