車輌プロフィール
ムルティストラーダ1200は、2010年に発売されたムルティストラーダ・シリーズの「新型」モデル。わざわざカッコ書きとしたのは、前身のムルティストラーダ1100/S、その前のムルティストラーダ1000/S、途中に販売されたムルティストラーダ620/ダークとは全く異なる新しいデザインを採用していたところから。1000と1100は、モデルこそ別だてにされているが、マイナーチェンジ前/後ともいえる関係だったので、ある意味、リッタークラスのムルティストラーダとしては、初めてのフルモデルチェンジだった。新しいムルティストラーダ1200のデザイン的な特徴は、これまで持っていなかったクチバシ形状が与えられたフロントカウル。但し、本当の進化の意味は、デザイン変更にあるわけではなく、水冷式の新しいパワーユニット(テスタストレッタ11°)を獲得したことが中心にあった。水冷Lツインの排気量は1,198ccで、ボア×ストロークは106mm×67.9mmであることから、スーパーバイク1198用(テスタストレッタ・エボルツィオーネ)をベースにしながら、バルブのオーバーラップ角を調整することなどで、ムルティストラーダのキャラクターに合わせたセッティングにしたものであることが分かった。また、スロットルの開閉を電気信号で伝達するライドバイワイヤを採用。トラクションコントロールも装備していた。2013年にマイナーチェンジを受けたのち、2015年モデルでモデルチェンジを受けた。ここで、エンジンは可変バルブタイミング機構を備えたテスタストレッタDVTを採用し、電子制御システムは、加速度を測定することでトータルにライディングをサポートするようになった。2017年モデルまで設定され、翌18年からのムルティストラーダ1260にバトンタッチした。