きっちり寄せて
初期で曲がろう!
Uターンを実際の公道で行う場合、最初に徹底したいのが安全確認です。実際の手順を追ってみましょう。まず道路の左端に寄るとき、左肩越しに後方を確認、続いて対向車が来ていないか前方を確認、そしてもう一度右肩越しに後続車を確認してからUターンを開始します。
後方確認はバックミラーだけでなく必ず目視すること。肩越しに「顔を向ける」ことは、相手へのけん制の意味もあります。ウィンカーは早め早めに出して、周囲に明確な意思表示をすることが基本です。
次に大事なのは、Uターンする場所ではバイクをできるだけ「左端に寄せる」こと。これはなるべく余裕を持って曲がるためです。きっちり端まで寄せられれば、それだけUターンの後半が楽になります。反対に寄せが中途半端だと、途中で曲がりきれなくなることも…ありますよね?
そして重要なのは「初期で曲げる」ということ。Uターンを開始すると同時になるべく早い段階でステアリング舵角をつけていくのがポイントです。これは旋回半径そのものを小さくするためで、一気にフルステアまで持っていければ、大型バイクでもかなりコンパクトに曲がることが出来ます。ここから車体を傾けていけばさらに小回りも出来ますが、まずはムリせず、段階を追って試してみてください。
| 直立でUターン まずは車体を立てた状態でのUターンからトライしてみましょう。安全を確認したら、まっすぐに1~2メートル走り出してからUターンに入ると楽です。慣れてきたら、ハンドルはターンの初期段階で大きく切ってしまったほうが、バランスはとり易くなります。Uターンではスロットル、半クラ、リアブレーキの3つの操作がキモになるので、具体的なスキルについては前回を参考にしてみてください。 |
| 傾けてUターン 車体直立でのUターンが完全に出来たら、次は少しずつ車体を傾けていきます。基本操作は上と同じですが、車体が傾く分、バランスさせるために少し速度アップさせる必要があります。スロットル開度は少し多めにして回転数をわずかに上げつつ、リアブレーキもやや強く踏むのがポイント。半クラもつなげ気味にして駆動力を安定させます。最初からフルステア状態でターンを開始できれば、かなり小さく曲がれます。 |
| 振り戻してUターン 基本的に車体を傾けてのUターンと同じですが、車線の左端に寄る手前で、一度ステアリングを逆に切り、前輪を左に振ってからUターンに入る方法です。左端に1メートルほど余地を残しておくのがポイントで、写真でも左端に寄った段階で、すでに車体の向きが変わり始めているのが分かるはず。最も小さく曲がれるUターン方法ですが、フェイント的な動作になるため、くれぐれも周囲の安全には注意しましょう。 |
| スイッチバック Uターンするのに充分なスペースが無い細い路地や、立ちゴケのリスクが高い上り坂などで有効なのが、スイッチバックです。上り坂なら、バックするときにクラッチを切れば、自然と車体が下ってくれるので楽です。このときハンドルは左に大きく切り、発進するまでになるべく車体の向きを変えておくのがポイント。両足が地面に届かなければ、地面に近くなる山側の足を着くのが基本です。それでも不安であれば、バイクを降りてスイッチバックすればOKです。 |
上りのUターン 上り坂ではイン側の足が地面から遠く、さらに逆バンクになるので旋回半径が大きくなるなど、デメリットが多くなります。そのぶん立ちゴケのリスクも高まるため、出来れば避けたいところですね。しかしどうしてもUターンせざるを得ない場合は、スイッチバックでも触れたように、両足が着かなければ必ず山側の足を着くのがポイント。Uターンの後半が下りになるので、速度が出過ぎないように注意しましょう。 |
| 下りのUターン 下り坂でのUターンは、イン側の足が地面から近い、正バンクになるので旋回半径が小さく曲がり易い、などのメリットがあります。ただし、イン側の右足を地面に着いているとリアブレーキが使えないため、速度調整はフロントブレーキで行う必要があります。ここで「ガツンッ」と握るとエンストや立ちゴケし易くなるのでレバー操作は繊細に。Uターンの後半が上りになるため、失速し易いので注意しましょう。 |
回転数を高めにキープ 1198Sは前傾の強いライポジや少ないハンドル切れ角などから、Uターンが苦手であることは前回も解説したとおりです。さらにトルク変動が大きいLツインのエンジン特性、乾式クラッチのフィーリングも極低速での難しさを際立たせています。Uターンする場合はムリせず、足着きターンが無難でしょう。でも、もしカッコよく極めたいのであれば、コツをいくつか…。ハンドル切れ角を補って小さく曲がるためには、車体を寝かせる必要があります。またエンストを回避するため、回転数を少し高めにキープするのがポイント。腕に余裕を持たせるため、上体を前傾させることも忘れずに! |
| 車体を傾けすぎない R1200RTでUターンするとなると、その車格や重量だけでも相当なプレッシャー。さらに乾式単板クラッチやシャフトドライブも、極低速での扱いにクセがあります。まずは無難に足着きターンから始めましょう。通常のUターンでも車体はなるべく立てたままが基本です。ただ、バランスポイントさえ見つければ、低重心のフラットツインのメリットを生かして驚くほど安定したUターンが可能です。リラックスして着座位置を変えてみるなど、いろいろ試してみてください。Uターン方法のバリエーションについては、スマテク講座【BMW編】に詳しいのでこちらも参照ください! |