初めてのバイク車検も安心!ユーザー車検も簡単に解る車検の仕組みと手続き
250cc以上のバイクのユーザーにとって、“車検”は2年に一度の関門のようなものかもしれません。国土交通省が道路運送車両法という法律に基づいて行う検査、と聞けばなんだかハードルが高いように感じるかもしれませんが、一度経験してしまえば驚くほどシンプルであることがわかるはず。そんなバイク車検について、詳しく知っておきましょう!
1.バイク車検の基礎知識
バイク車検はいつ、どこで、だれが、どのように受けられるのか?
実は知らない車検の基礎知識を説明します!
1-1.バイク車検、自分でやる?お店に頼む?
バイク車検は大きく分けてふたつの方法があります。
- ● ユーザー車検… 自分で整備し陸運局等にバイクを持って行って車検を受ける方法
- ● 販売店等への依頼… 車検に必要な整備や手続きをお店に代行してもらい、車検を受ける方法
1-2.車検は何年に1度受けるのか?
バイクの車検期間は、新車で購入した場合、初回は登録から3年後。それ以降のバイクや中古で購入したバイクは2年に1度となります。
中古車の場合、車検がフルで残っていない場合もありますし、すでに自分のバイクでも車検の時期を忘れてしまうこともあります。そういった場合は車検証に記載されている「有効期間満了日」の欄を確認してください。
車検を受ける時期に関しては特に指定はありませんが、有効期間満了日の1カ月前(沖縄本島を除く離島の場合は2カ月前)から満了日までに車検を受けた場合は、次回の車検の時期は変わらず、車検満期は2年後の同じ日付けになります。
有効期間満了日の1カ月以上前に車検を受けて合格すると、車検に合格した日が次の車検満期の日付になり、早く受けたぶん損をしてしまうので気を付けましょう。
例)2017年11月30日が車検の有効期間満了日の場合
◎ 2017年11月5日に車検を受けると… 2019年11月30日が次の有効期間満了日
△ 2017年10月5日に車検を受けると… 2019年10月5日が次の有効期間満了日
1-3.車検が必要なバイクの排気量は?
バイクの車検は251cc以上からが対象になります。
250cc以下のバイクは車検は必要ありませんが、安全に乗るためにも各自でしっかり点検やメンテナンスを行いましょう。また、車検の対象外でも自賠責保険に加入する義務はありますので期限切れにならないよう注意してください。
1-4.車検はどこで受けられる?
販売店などに代行をお願いする場合、そのお店に預けましょう。
ユーザー車検を受ける場合は、各エリアにある陸運局の運輸支局か検査登録事務所(以下、陸運局)へ、車検を受けるバイクを持って行き検査を受けます。また、車検は自分が住んでいる地域等は関係なく、全国どこの陸運局でも受けることができます。
1-5.ユーザー車検のメリット・デメリット比較
ユーザー車検のメリットは手続きや申請を自分で行うため、工賃や人件費が発生せず料金が安いこと。また、その費用に関しても具体的な内訳を知ることができます。そのほかにも自分で整備や車両のチェックを行うので、自分の愛車の状態や整備の知識が身に付きます。
一方ではデメリットもあります。全ての手続きや申請を自分で行うからこそ、準備に時間がかかりますし、陸運局の受付は平日のみなので予定を合わせなくてはいけません。
また、整備不良がみつかれば車検に受かりませんので、どんな検査項目がありどのような整備をしておくべきかの知識と技術が必要になります。
車検当日に整備に不備があり不合格となった場合、当日中であれば再検査料はかからずに再検査を受けられますが、日付が変わると再検査料がかかりますので、その場で車検に合格するよう調整が可能な程度の知識は求められます。
2.バイク車検の費用
自賠責保険が24カ月ならバイク車検にかかる陸運局での費用は2万円以下?!
その内訳はどうなっているの?
2-1.自賠責保険
バイクに乗る際、原動機付自転車も含め必ず加入しなくてはならないのが、自動車損害賠償責任保険(以下、自賠責保険)です。未加入で運行した場合は違反点数6点により免許停止処分、加えて一年以下の懲役または50万円以下の罰金を支払うことになります。
ただ、車検時には自賠責保険の加入手続きをしなくてはならないので、車検が必要なバイクの場合は加入漏れになることはないでしょう。
自賠責保険は期間によって金額がことなります。250cc超(車検が必要)のバイクにかかる自賠責保険料は以下の通り。
250cc超のバイク
本土(沖縄県を除く) | 沖縄県(県内離島を除く) | 沖縄県の離島地域 | 離島地域(沖縄を除く) | |
---|---|---|---|---|
12カ月 | 8,290円 | 5,150円 | 5,150円 | 6,010円 |
24カ月 | 11,520円 | 5,310円 | 5,310円 | 7,000円 |
36カ月 | 14,690円 | 5,460円 | 5,460円 | 7,980円 |
2-2.重量税
自動車重量税は名前の通り、自動車の重量によってかけられる税金です。バイクの場合は126cc以上の車両に課されます。250cc超のバイクは、バイク取得時だけでなく車検時にも重量税を納付します。
また、重量税は車両の登録年から何年経過したかで金額が変わります。車検ごとにかかる重量税の金額は下記を参考にしてください。
250cc超のバイク/2年
0~12年経過車 | 3,800円 |
---|---|
13年以上経過車 | 4,600円 |
18年以上経過車 | 5,000円 |
2-3.証紙代や印紙代等の検査手数料
車検を受ける際、申請には「自動車審査証紙」と「自動車検査登録印紙」が必要です。またこのふたつを合わせて検査手数料という場合があります。
自動車審査証紙は1,300円、自動車検査登録印紙は400円ですので検査に必要な手数料は1,700円になります。
2-4.合計でかかる費用の目安
上記の金額を参考にして、東京都で登録から10年以内のバイクを、2年後の車検まで追加支払いが無いようにバイクのユーザー車検を行った場合、メンテナンスや整備にかかる金額を除くと車検場での必要経費は以下のようになります。
● 自賠責保険 1万1,520円
● 重量税 3,800円
● 検査手数料 1,700円
■ 合計1万7,020円
以上がユーザー車検での必要経費です。もちろん事前に整備をしたり、販売店等へ車検の依頼をした場合はそれぞれに料金が発生しますので、車両の状況などに合わせて、さらに必要経費が発生する可能性があります。
3.一般的な車検の流れ
バイク車検を受けるために知っておきたい、予約の仕方や必要書類。この準備は怠らないように!
3-1.予約・申し込み方法について
車検を受ける際は、インターネットもしくは受験する陸運支局へ電話し予約が必要です。インターネットの場合は国土交通省自動車検査インターネット予約システムから予約できます。
最寄りの陸運支局の電話番号は国土交通省のWebサイトにて検索できます。
予約は、受検日の2週間前から申込が可能。前記した通り、継続検査は全国どこの検査場でも受検できます。
3-2.車検当日に必要な書類
- ① 自動車検査証
- 車両の基本事項やナンバーが記載された書類。車検に合格した車両に発行される。
- ② 軽自動車納税証明書(継続検査用)
- 自動車税の納税が正しく行なわれているかを確認するための証明書。毎年5月ごろに納税書が送られてきて、領収印をもらうことで証明書として使用できる。紛失した場合、軽自動車納税証明書は各市区役所で再発行が可能。
- ③ 定期点検整備記録簿
- 定期点検整備を行った際、法定点検の内容を記録した用紙。車両購入時にメンテナンスノートなどの名目で付属されていることも多いが、インターネット上などでもダウンロードや印刷も可能です。整備工場などで事前に点検整備を受けた場合は発行してもらいましょう。
- ④ 自賠責保険(共済)証明書
- 自賠責保険は次回の車検期間を含んで加入する必要があります。車検日当日、同敷地内で次回の車検期間までの加入が可能です。
- ⑤ 自動車重量税納付書・印紙
- 自動車重量税を納付するための書類と印紙。車検当日に陸運局にて入手できます。
- ⑥ 継続検査申請書(OCRシート等申請様式)
- 書類の名前からわかるように車検の継続検査を受ける事を申請する書類です。車検当日に陸運局にて入手できますが国土交通省のWEBサイトからもダウンロードできます。【国土交通省・継続検査申請書の印刷の仕方とダウンロード】
- ⑦ 自動車検査票
- 検査項目をチェックしていく用紙です。車検当日に陸運局にて入手できます。
以上のように④~⑦は車検当日に陸運局にて入手できますので、当日の現地にて入手し記入が可能です。①~③は忘れずに準備して持参しましょう。
また、二輪車排出ガス規制・近接排気騒音規制車両でマフラー交換されている場合は排出ガス試験成績証明書が必要です。当てはまる場合はこちらの証明書も用意しましょう。
3-3.その他に持参するもの
- ● 必ず必要なもの
- 検査に必要な費用
- 車検の予約時に発行された予約番号の控え
- ● 持って行ったほうが良いもの
- 印鑑(三文判で可・シャチハタ不可)
- 車載工具でもかまわないので自分のバイクに良く使う工具
- 筆記用具(ボールペンと鉛筆)
- クリアファイル等、書類をまとめるもの
3-4.車検にかかる日数や時間
ユーザー車検の場合は、必要書類の準備など事前におこなっておけば、検査自体は30分程度です。ただ、初めて受験する場合は、当日の印紙・証紙購入や、書類の記入が多く、書類は書きなれない内容が多いため、時間にゆとりをもって陸運局へ行ってください。
また、検査で修理や調整が必要だと判断された場合、当日中であればメンテナンス後に追加料金無しで再検査を受けることができます。こうしたことも考慮し早めの時間を予約することをおすすめします。
4.車検の検査項目や合格基準
緊張する陸運局での車検。どんなことを検査されるのか、その詳細と注意事項。
4-1.車検時に確認される項目について
車検時に検査される項目は、大きく分けてふたつあり以下の内容です。
【検査員の目視による確認】
灯火装置(ライト、ウインカー、ストップランプ)や、ホーン、ブレーキ等の動作確認。車体の外観検査(フレーム番号、ボルトの緩み、タイヤの溝、オイル染み、チェーンの張り具合等)の確認。
また、マフラーが交換されている車両等は排気音計測の検査、ハンドル等を交換していた場合は寸法計測が必要になる場合があります
【検査ラインでの機械による確認】
速度計検査、光軸測定、フロント・リアのブレーキの検査、排ガスチェック(対象車のみ)
検査員と直接会話しながら検査を受けられる目視の検査では、検査の受け方などの実務的な質問以外でも説明してくれることがあります。ただ、時間帯によっては混み合っていたり、検査員の人数が少ない場合も考えられるので、どういった内容の検査を行なうのかは事前に確認していきましょう。
検査ラインでの機械による確認では、最初にヘッドライト(1灯・2灯)・スピードメーター(前輪・後輪)を選択します。検査を受けるバイクがどちらに当てはまるのか確認しておきましょう。
その後は電光掲示板の指示に従ってバイクを操作し検査を受けます。主に、車検で不合格になり得るのはこちらの、機械による検査の確率が高いので、事前にしっかりと車両を整備し、状態を整えておきましょう。
万が一不合格だった場合は当日中であれば、余分な料金をかけずに再検査が受けられます。そのため、あまり緊張せずに落ち着いて検査を受けてください。
4-2.灯火類、保安装置検査について
検査ラインの機械で受ける光軸測定とは別に、ウインカーやテールランプ、ホーンなどの電気、保安装置が正常に機能しているかを確認されます。ウインカーの点滅速度などもみられるのでしっかり整備しておきましょう。
4-3.ヘッドライトに関しての検査について
ユーザー車検において、比較的不合格になりやすいのがヘッドライト関連の検査です。光軸測定だけではなく、ヘッドライトの光量や色なども検査対象になります。
光軸の調整に関しては、テスターの無い状況できっちり調整するのは難しい項目です。検査に不合格になった場合、別途料金はかかりますが、陸運局の近隣にある予備車検場などで調整してもらうことをおすすめします。
光量は純正部品や車検対応品に付け替えていても、ヘッドライトカバーの劣化によるくすみなどで光量不足になる等の可能性があり、そういった場合ヘッドライトカバーを磨く、もしくは新品に交換するなどの対策が必要になります。
4-4.ブレーキ周りの検査について
ブレーキ検査は、検査ラインでの機械による確認に含まれています。日常的に走行していてブレーキに支障がなければ、検査で不合格になる可能性は低いですが、ブレーキの効きが検査の基準値を下回っている場合は不合格になります。この場合ブレーキパッドなどのパーツの交換や、修理が必要な可能性もあるので、当日中に再検査での合格は難しいかもしれません。
5.ユーザー車検と販売店などに依頼する車検の違い
ユーザー車検とお店に頼む車検の違いってなに?
料金と安心のバランスを考えて選ぶことが大切!
5-1.販売店などに車検を頼めば手間と不安はぐっと下がる
バイクの車検についていろいろと説明してきましたが、「手間がかかりそう」「車検に合格できる整備ができてるか分からない」「平日は休みづらい」などの不安を解消できるのは、車検に必要な整備や手続きを代行してくれるお店に頼むことです。ユーザー車検はかかる費用は抑えられますが、その分自分の労力や時間を使わなくてはいけません。
実際に陸運局で車検を受けるのは半日で済んだとしても、その前に車検に合格するための整備やパーツ交換も自分で行い、書類を全て用意するのはかなりの手間になります。それを考えると、お店に頼むことで様々な不安も解消でき、時間を使わずに済むことは大きなメリットになります。
5-2.「車検」だけでなく「整備点検」も大切
車検をお店に頼む大きなメリットのひとつは、プロが整備点検をしてくれることです。もちろん日常的なメンテナンスや安全点検は自分で出来たほうが良いのですが、さらに深い知識を持っている人に整備してもらうことで、安心してバイクに乗れます。
そもそも車検は、車検を受けた時期にそのバイクが検査基準を満たしていれば合格できます。ですが、本来はその状態を維持し安全に乗り続けることが大切なのです。
特に、日常的に整備をあまり行わない人や、バイクの知識があまりない場合、数年に一度の車検をきっかけに、トータルで愛車の状態をプロにチェックしてもらった方がいいでしょう。消耗パーツの劣化に気が付かずに乗っていたり、ちょっとした不具合に気が付かずに乗り続けていると、思いもよらない事故やトラブルになることもあります。車検の検査基準に合わせるだけでなく、そのほかの部分もしっかりとメンテナンスしておくことで、事故や出先での車両トラブルを未然に防ぐことにつながります。
5-3.単純にかかる費用だけで検討してはいけない
単純に金額だけで比べれば、ユーザー車検は安く店舗への依頼は高いというイメージになりますが、上記のことをふまえた上で考えると、一概に車検を店舗にお願いすることが「高い」とは言い切れません。自分でやらなくてはいけない手間と作業が少なくなり、プロにバイクを整備してもらう。そういったことで安全と安心も一緒に購入しているのです。
また、ユーザー車検の場合は車検に通らなかった際、再度パーツの購入や整備が必要になった場合、自分で解決した後陸運局へ行かなくてはいけませんし、その不具合の理由を自分でつきとめられるかは知識の量によって変わってきます。ですが、店舗へ依頼すればプロがみてくれるので、車検に通らない部分はしっかり整備してくれ、車検に通るようにしてくれます。
きちんと整備していなかったせいで、ちょっとした不具合が大きな故障につながり修理費が高くつく、事故につながりケガの治療費がかかる、そういった可能性を考えると整備費用が組み込まれた店舗に車検を依頼するのは「安い」とも言えます。
ユーザー車検にするか、店舗に依頼するかは自分の知識量やそこにどれだけ時間をかけられるかなど、状況をしっかり見極めてきめましょう。
※本記事は、2017年11月30日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。