掲載日:2010年11月05日 公道スペシャリスト“白バイ流” 究極の安全運転テクニック
常に沈着冷静で威風堂々とした走り。そしてひとたび事件が発生すれば疾風のように現場に駆けつける…。「白バイ」は誰もが認める公道走行のスペシャリスト集団である。その極意とはいかなるものか。2009年度全国白バイ大会のチャンピオン、千葉県警の笹野巡査長を講師に迎え、ストリートを安全確実に走り続けるための考え方やノウハウをお伝えしよう。
「グリップ走法」と「スライド走法」
両方使いこなせれば言うことなし
写真のスタンディングスタイルは重心位置を高くでき、ヒザで衝撃を吸収できるなど荒れた路面などでは有利だが、今年からマシンがトレール車になりシッティング主体になってきた。いずれにしても、オフロードコーナリングでは滑りに対応した外足荷重がポイントである。
白バイ隊員は日頃からトレーニングにオフロード走行を取り入れている。公道で取締りを行う白バイに何故オフロードの技術が必要なのか疑問に思うかもしれないが、実はバランス感覚を養う上で非常に有効なのだ。通常時においては白バイ隊員もアスファルト上を走ることがほとんどだが、災害救助の現場や悪質な逃走犯を追跡する場合、不整地に入り込まなくてはならないケースも出てくる。また、雨天や冬場の凍結などで滑りやすい路面に遭遇する場合も少なくない。これは一般ライダーとて同じことだ。そういった状況下においても、常に冷静さを保って安全なライディングを続けられるスキルを身につけたいものだ。
さて、オフロード走行のトレーニング種目だが、白バイ大会に準じて「トライアル」と「不整地走行」の2つがある。前者は障害物やガレ場などの難しいセクションをいかに転倒やコースアウトなどのミスをすることなく走破する技術であるのに対し、後者は滑りやすいダート路面でいかにバイクをコントロールするかが問われる。今回のテーマであるコーナリングについて、千葉県警の佐藤巡査長にそのポイントをうかがった。
「オフロードは路面のグリップが低く滑りやすいため、ブレーキやクラッチ、スロットルなどすべての操作を丁寧かつスムーズに行う必要があります。また、限界が低い分、安全にスライドコントロールなどの技術を学ぶことができます。土の上なら転んでもダメージは少ないですし、バイクも白バイに比べるとずいぶん軽量なので、思い切ったトライができる点もいいですね」
事実、最近のハイパフォーマンスモデルの中にはちょっと油断すれば簡単に後輪スライドしてしまうものもある。オフロードで培ったバランス感覚が生かされるのは、むしろ普段のオンロードのほうかもしれない。
技術的なことは下の写真を見てほしいが、白バイ大会でも今年から使用するマシンがトライアル車のTLMからトレール車のXR230に代替えされたことでテクニックにも若干の違いが出てきているという。ライディングフォームが従来のスタンディングからシッティング中心になったこともその一例。走り方も大きく分けて「スライド走法」と「グリップ走法」がある。それぞれにメリットがあるので両方とも習得できればベスト。ライディングの幅もより大きく広がるはずだ。
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