今日から使えるライテク実践講座-「サーキットを走るにはどうしたら…?」

Text / Kentaro SAGAWA Photo / Satoshi MAYUMI  取材協力 /ライディングアカデミー東京  撮影協力 / トミンモーターランド
ライディングアカデミー東京」佐川健太郎の“スマテク”とは?
普段から役立つ実践的なノウハウや方法をレクチャーしてくれるのは、バイクライフをもっと豊かにするためのライディングスクール「ライディングアカデミー東京」の佐川健太郎校長。せっかく手元にある大型バイク、安全に走りを楽しみ、満面の笑みで1日を終えたいもの。そのためには、ライダー自身のスキルアップと安全意識の向上、環境へも配慮したスマートなライディングを目指したい。それが“スマートテク”なのだ。
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プロセスを分解して
組み立て直そう!

コーナリングと言うと、フルバンクの旋回をイメージする人も多いと思いますが、実はそれ以前に大事なことがあります。それは「アプローチ」。コーナリングの成否はその前段のアプローチでほぼ決まってしまいます。

 

キーワードは「組み立て」と「速度の見積もり」。アプローチは、先に待ち構えているコーナーに向けての準備区間でもあります。何事も段取りがしっかり出来ていないと後でバタバタしてしまうのと同じで、コーナリングも組み立てが大事です。

 

具体的にはアプローチを5段階に分解して考えます。

 

①加速

②準備

③ブレーキング

④シフトダウン

⑤ステップイン

 

もちろん、他の考え方もあると思いますが、私はこの方法でアプローチが得意になりました。やることを順番に整理することで、ひとつひとつの動きをシンプル化し、余裕を持たせるのです。

 

よくありがちなのが、コーナー直前でこれらの作業を一気にまとめてやろうとしている例。コーナーが迫る中、ただでさえプレッシャーがのしかかってくるのに、自分自身で慌ただしくしてしまいます。余裕が無くなれば当然、正確な操作・動作が出来なくなり、失敗のリスクも高まりますよね。

 

「速度の見積もり」に関しては以前、ブレーキング編でも解説しましたが、そのコーナーに見合った速度に調整することが目的になります。いわゆる「曲がるためのブレーキ」です。サーキットではストリートより高い速度で曲がるため、シビアな速度コントロールが求められますが、そのためにはブレーキを「一定に長く」かけることがポイントなのは同じ。コーナー直前で一気に減速しようとしても到底「狙った速度」にはなりません。そこだけ頑張っても、結局はタイムも出ないしリスクが大きくなるだけ。

 

しっかり段取り、きっちり見積もりを出して、スマートな走りを目指しましょう!

コーナー手前の基本動作

 

5ステップで組み立てる

アプローチのプロセスは次のとおり。①加速→直線ではカウルに潜り込むように上体を伏せてスロットル全開。伏せても目線はしっかり先に向けます。②準備→スロットル全開のまま、腰をイン側にずらすとともに外足でタンクをホールドしてブレーキングに備えます。③ブレーキング→上体を起こしつつブレーキング開始。腕を突っ張らないように背筋を使って上体を支えます。④シフトダウン→速度がある程度まで落ちたところでシフトダウン。アクセルを煽りながら回転数を合わせていくブリッピングシフトダウンが基本です。⑤ステップイン→イン側のステップを踏み込みつつ、腰をさらにずらしていくことで倒し込みのキッカケを作ります。そして初期旋回へ。

ブレーキングでの強力な減速Gに耐えるため、絶対必要なのが外足によるホールド。太モモの内側をタンク後端に当ててがっちりとロックしてしまいましょう。腰はずらしているのでイン側の膝はあまり期待できません。車体を倒し込んでいくときも、イン側ステップへの荷重とともに外足を使ったタンクの押し込みがとても有効。タイミングが合うとどんなバイクでも軽快に倒し込むことができます。

 

外足ホールドがキモ

ブレーキングでの強力な減速Gに耐えるため、絶対必要なのが外足によるホールド。太モモの内側をタンク後端に当ててがっちりとロックしてしまいましょう。腰はずらしているのでイン側の膝はあまり期待できません。車体を倒し込んでいくときも、イン側ステップへの荷重とともに外足を使ったタンクの押し込みがとても有効。タイミングが合うとどんなバイクでも軽快に倒し込むことができます。

 

フロントブレーキはフルブレーキングの場合でも指1本か2本で十分な効力が得られます。特に強力なブレーキシステムを持つ現行のスポーツモデルなどは、がっちりと握るよりも繊細な操作感が得られ易いはずです。もちろん3本でも4本でも自分が操作し易い方法が一番ですが、少なくとも指の何本かはグリップに残しておく方が、車体が振られたときの安全面などを考えると有利です。

 

フロントブレーキはフルブレーキングの場合でも指1本か2本で十分な効力が得られます。特に強力なブレーキシステムを持つ現行のスポーツモデルなどは、がっちりと握るよりも繊細な操作感が得られ易いはずです。もちろん3本でも4本でも自分が操作し易い方法が一番ですが、少なくとも指の何本かはグリップに残しておく方が、車体が振られたときの安全面などを考えると有利です。

1本か2本でO.K.

フロントブレーキはフルブレーキングの場合でも指1本か2本で十分な効力が得られます。特に強力なブレーキシステムを持つ現行のスポーツモデルなどは、がっちりと握るよりも繊細な操作感が得られ易いはずです。もちろん3本でも4本でも自分が操作し易い方法が一番ですが、少なくとも指の何本かはグリップに残しておく方が、車体が振られたときの安全面などを考えると有利です。

 

危険回避などを目的とした急制動が、なるべく短い距離と時間の中で止まるための操作をするのに対し、曲がるためのブレーキでは「一定に長く」ブレーキをかけて速度を調整していくのが基本です。これはサーキットでも同じですが、ストリートと比べると入力レベルはより強く長くなっていきます。図ではフロントブレーキの入力と時間の関係を表していますが、速度が高まるほど台形のサイズが大きくなっていくイメージです。けっしてピークだけを上げていく操作にはなりません。一方、リアブレーキは速度が高まるほど制動効果は期待出来なくなるため、その比率は低くなります。ストリートでもサーキットでも、早めの段階で姿勢安定に使い、あとは一定にキープする程度。アプローチで無理に使ってリアロックするくらいなら、むしろ使わずに、フロントブレーキに集中する考え方もあります。「一定に長く」のレベルを上げる

危険回避などを目的とした急制動が、なるべく短い距離と時間の中で止まるための操作をするのに対し、曲がるためのブレーキでは「一定に長く」ブレーキをかけて速度を調整していくのが基本です。これはサーキットでも同じですが、ストリートと比べると入力レベルはより強く長くなっていきます。図ではフロントブレーキの入力と時間の関係を表していますが、速度が高まるほど台形のサイズが大きくなっていくイメージです。けっしてピークだけを上げていく操作にはなりません。一方、リアブレーキは速度が高まるほど制動効果は期待出来なくなるため、その比率は低くなります。ストリートでもサーキットでも、早めの段階で姿勢安定に使い、あとは一定にキープする程度。アプローチで無理に使ってリアロックするくらいなら、むしろ使わずに、フロントブレーキに集中する考え方もあります。

 

リアブレーキはどう使ったらいい?

バイクのデザインは一見左右対称に見えますが、操作系はまったく異なります。特に右側にはアクセルと前後ブレーキなどの速度調整に関わる大事な操作系が集中しているため、扱いが難しくなっています。その中でもとりわけ操作方法に工夫が求められるのがリアブレーキ。たとえば旋回中に軽くリアブレーキを当てて姿勢を安定させたい場合など、左コーナーの場合は土踏まずをステップに載せておけば普通に操作出来ますが、右コーナーは少々厄介。ハングオフフォームのときは、写真のように足裏を車体側に向けるイメージで、小指の外側などを使ってペダルを操作してみると良いでしょう。いずれにしても、慣れは必要です。

 

バイクのデザインは一見左右対称に見えますが、操作系はまったく異なります。特に右側にはアクセルと前後ブレーキなどの速度調整に関わる大事な操作系が集中しているため、扱いが難しくなっています。その中でもとりわけ操作方法に工夫が求められるのがリアブレーキ。たとえば旋回中に軽くリアブレーキを当てて姿勢を安定させたい場合など、左コーナーの場合は土踏まずをステップに載せておけば普通に操作出来ますが、右コーナーは少々厄介。ハングオフフォームのときは、写真のように足裏を車体側に向けるイメージで、小指の外側などを使ってペダルを操作してみると良いでしょう。いずれにしても、慣れは必要です。

コーナリング中のリアブレーキ操作は…

バイクのデザインは一見左右対称に見えますが、操作系はまったく異なります。特に右側にはアクセルと前後ブレーキなどの速度調整に関わる大事な操作系が集中しているため、扱いが難しくなっています。その中でもとりわけ操作方法に工夫が求められるのがリアブレーキ。たとえば旋回中に軽くリアブレーキを当てて姿勢を安定させたい場合など、左コーナーの場合は土踏まずをステップに載せておけば普通に操作出来ますが、右コーナーは少々厄介。ハングオフフォームのときは、写真のように足裏を車体側に向けるイメージで、小指の外側などを使ってペダルを操作してみると良いでしょう。いずれにしても、慣れは必要です。

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スマテク講座 講師
佐川 健太郎(Kentaro SAGAWA)
「ライディングアカデミー東京」校長。1963年東京生まれ。モーターサイクルジャーナリストとして2輪専門誌等で活躍中。公道で役立つ実践的な低速系ライディングから、モータースポーツとしてのサーキットライディングまで、テクニックやノウハウに造詣が深く、メーカー系イベントや各種スクール、走行会などでも講師を務める。米国ケビン・シュワンツ・スクール修了。MFJ公認インストラクター。