アドバンテージ流カスタム(スイングアームの勧め) #06(最終回)
更新日:2020年01月31日 10:16:00

アドバンテージ流カスタム(スイングアームの勧め) #06(最終回)

ADVANTAGE(アドバンテージ)のブログ

『カスタムの真面目な話』

スイングアームに対する、アドバンテージの方向性を書き出してみましょう。素材に関しては、ピボット部分、スイングアーム本体、チェーン引き部分など、7N01を採用しています。スイングアーム自体(目の字断面)のメイン部分の素材のサイズですが、アドバンテージではメイン素材だけでも4タイプあり、スタビライザ材で2種類。素材形状は下記のようになります。

タイプC:60mm×30mm t2.8mm

タイプB:70mm×32mm t3.0mm

タイプA:80mm×32mm t4.0mm

タイプX:92mm×40mm t2.8mm

スタビライザ用マルチリブ形状:25mm×22mm t2.0mm

スタビライザ材「日の字」断面:36mm×24mm t3.0mm

ピボット部分:φ48 t9mm/φ43 t8mm/φ38 t5mm

勿論これらはフレーム素材として使用可能な物が多いです。その他ではMotoGPで使用されるような削り出しで、スイングアームを最中(もなか)のような形状で削り出して合わせた、畳の板状のようなブランクも数種類在庫しています。これらは各素材ともに約300~500kgほど在庫しています。

先にお話ししますと、ワークスのロードレースの最高峰では、スイングアームを作るのに各部分の剛性に応じた強度設計を行い、必要な剛性を各パート毎に削り出し、それらをアッセンブリーしてスイングアームを完成させます。当然「目の字」だろうが「日の字」だろうが、厚みも変化させながら、削り出しによって作られたパーツを組み立てていきます。1台分で約200万円はする製品です。

スイングアームのメイン部分だけでも7N01材は10種類近く必要になってきます。このような事はフレームでも行われていますし、勿論モトクロスの世界でも同様です。

また、アドバンテージのスイングアームの方向性としては、下記のような事に注意しながら製作しています。

①各車両のキャラクターから現在の環境に照らし合わせた方向で再設計しています。販売当時と現在の状況の変化は無いか、ということが最重要になります。

②カスタムユーザーからのオーダーに関しては、各代理店様からそれぞれ希望の仕様や現状に対する相談が寄せられてきますが、特に多いのが、ホイールのインチダウンやサイズアップで、ワイド化に対応出来るスイングアームを設計します。要望としてはサスペンションの取り付け位置関係の変更であったり、トルクロッドの取り出し位置の変更です。場合によってはスイングアーム長も変更ですね。

③レースユーザーを含め、プロレーサーなどは具体的なリクエストに沿った製作になります。当然これには耐久レース用でホイールをクイックチェンジしたい、という全体的なパッケージを含めたリクエストが最も多い仕事です。レースのみならず、大変重要なのは“しなり”です。コーナリングの良し悪しを決める重要なファクターは、ここにも存在するのです。

以上、スイングアームに関するお話でした。

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