どんなときでも
自分を見失わないこと
今回は、バイクを安全に乗りこなすためのポイントをいろいろなシチュエーション毎に考えてみたいと思います。
たとえば休日に都会を離れてツーリングに出かけるとします。朝一番、寒い季節はもちろんですが、夏でもタイヤは冷えた状態です。家から出て最初の交差点でスッテーン! とならないためにも、タイヤとともに自分自身もウォーミングアップするつもりでゆったりと落ち着いて走り始めましょう。焦ってつまらないミスをしないためにも、時間に余裕を持つこと。そうそう、出発前にガソリン残量、タイヤの空気圧、ブレーキパッド残量ぐらいはチェックしてくださいね。
さて、まず市街地では、特に交差点が危険ゾーンとなります。事故の多くは交差点とその付近で起こっています。交差点では信号の有る無しに関わらず、いつでもブレーキをかけられるように準備しつつ、速度を落として通過するのが基本。「信号が青だから進む」といった単純な思考ではなく、しっかり自分の目で状況判断することが大事です。また朝と夕方は事故が起こりやすい時間帯です。朝はまだ寝ぼけていたり通勤で急いでいたり、夕方は視界が悪くなり帰宅や配送などで急いでいる人やクルマが多くなるなどリスクが増えます。
高速道路は流れに乗ること、そしてセーフティゾーンを自分の周りに作りながら走ることがポイント。つまり「間合いを取る」ことです。大型車の近くは乱流の影響を受けやすく、橋の上やトンネル出口では強風でハンドルを取られることもあります。速度ムラやフラつくクルマにもご用心。未熟なドライバーはともかく、居眠りの可能性もあります。高速道路に限らずですが、「危険な匂い」のするクルマには極力近づかないこと。後ろから煽ってくるクルマはとっとと先に行かせましょう。前走車と十分な間隔を開けるのはもちろんですが、後続車や左右のクルマともなるべく距離を開けるようにしたいところです。そして相手の死角に入らないような位置関係を、常に心がけてください。
ワインディングに入ったら勢いよく飛ばすのではなく、まずはじっくり自分のペースを作りましょう。これは仲間と一緒の場合、特に注意したい点です。先頭のペースに引っ張られると自分の走りが出来なくなり、焦ってミスもしやすくなるなど極めて危険。楽しいはずの1日が台無しになってしまいます。ワインディングは市街地や高速道路とも速度感や目線の使い方が異なるため、その感覚を思い出すまでにある程度の時間がかかります。最初の30分ぐらいは下見を兼ねて、スロットルのオン・オフだけで軽く流しながらリズムを作るといいでしょう。
また、休日は運転に慣れていないサンデードライバーが多いのも特徴です。ワインディングでは、展望台などがあるパーキングの出入口周辺が特に危険。観光地では急にハンドルを切って土産屋などに入ろうとするクルマも多いので注意しましょう。
そして帰り道。日も暮れて視界は悪く、疲労はピークに達します。高速道路で渋滞にハマることも多く、みんながイライラしています。すり抜けで事故が起こりやすいパターンですね。そんなときこそ、パーキングでひと息入れるぐらいの余裕が欲しいところ。熱い珈琲とストレッチで心身をリフレッシュして、道路が空いた頃に走り出せば、気分よく1日を終えられることでしょう。帰宅時間も案外変わらなかったりしますよ。
どんなシチュエーションでも結局のところ大事なのは、自分を見失わないこと。これに尽きますね。
文/佐川健太郎
| 市街地は集中力を高めて 歩行者、自転車、スクーター、クルマ…。混合交通の極みである市街地こそは最も集中力を発揮すべきシチュエーションではないでしょうか。特に交差点付近は危険ゾーン。たとえ信号が青でも、自分の目で左右の安全確認をして、前後ブレーキを用意しながらスロットルを戻して通過しましょう。 |
| 高速道路は流れるように 高速道路では交通の流れに乗ることがまず大事。過度な速度変化や車線変更はかえって疲れるし、ゆったりとした気持ちで淡々と走る方がスマート。バイクの社会的地位向上や運転免許証を失わないためにもそう思います。速度差が大きく混雑する場合も多いICやSAの出入口付近は要注意。 |
| ワインディングは対話を楽しむ 季節ごとの変化に富んだ景色を味わいつつ、連なるコーナーを愛車とともに駆け抜ける喜びは何にも代えがたいものがありますよね。それも自分のペースで楽しめてこそ。速さに囚われたり、他人との比較になってしまうとバイクとの対話が途切れてしまいます。そしてリスクだけが増大することに。 |
| サーキットは真摯に真剣に サーキットは全身全霊でバイクの性能を引き出して純粋にライディングを楽しむ場所です。その意味で真剣にスポーツに打ち込むのと似ています。安全が確保された専用コースではありますが、速度レンジが高いため相応のリスクを伴うことも事実。ルールとマナーの厳守、安全装備は必須です。 |
| ダートは無理しない 心躍る楽しい林道ツーリングですが、ビッグオフ系やデュアルパーパスなどでは決して無理をしないこと。特に狭い林道や轍などに入ってしまうと身動きがとれなくなってしまうことも。ブレーキングやコーナリングの感覚も舗装路とはだいぶ異なるので、まずはフラットダートで練習しましょう。 |