コラム:アドバンテージ流カスタム(スイングアームの勧め) #03
ADVANTAGE(アドバンテージ)のブログ
前回に続いてスイングアームに対する考え方と役割を紹介します。スイングアームはサスペンションの一部で“トレーリングアーム”と言われています。フレームのピボット部分にベアリングで支持され、スイングアーム後方の車軸左右を支持する形状のものを言います。
近年の方向性は、ここ10年で見ると長さが10%近くロングになっているようです。当然スイングアーム長が伸びれば挙動が穏やかになるので、大幅なコントロール性のアップに繋がります。前後荷重の抜けによる不安定な動きがなくなり神経質なスロットル操作からも解放される事でしょう。皆さんも経験があるでしょうか? 急激なアクセルのオン/オフによる挙動の変化が、スイングアームが短いと極端に起こり、それがライダーに対して恐怖感や過大なストレスを与える事で、瞬時な判断を要する操作を誤ってしまう元凶になっています。
ロングスイングアームが良いと言ってるのではなく、マシンが製造された時代背景や進化が極端に現れているのです。パワーを手に入れた時代、足まわりを手に入れた時代、制動力を手に入れた時代、制御力を手に入れた時代、これらの時代背景に見合った方向性が、その当時のマシンに関連したパーツを与えられてきたのです。そして近年は操縦性を更に見直しているように思います。
我々はそのマシンに適した各実数値を設定しているわけですが、仮にスイングアームの長さが若干変更されたところで、小回りが効かなくなったり、曲がりづらさを感じるような事は一切ありません。けして長さ関係だけを見直しているわけではないのです。剛性感や微妙なしなり、サスペンションの取り付け位置、ホイールまでのフリー長などを含めた上で、性能を発揮するのです。
スイングアームの後輪と車体を結ぶ角度は水平ではなく、ちょっとだけ斜めになっていますね。この角度を“垂れ角”と言います。スイングアームの形状やピボットの位置によっても変わりますが、2輪はトラクションを掛けた状態(アクセルON)でタイヤにトルクが伝わり、安定してタイヤのグリップ感を得られます。スイングアームの最適な角度(設計値)によって、アンチスクワット効果が得られるのです。
トータルで考えるなら是非ご相談下さい。今より走行安定性を出したいのか、特化した旋回性を狙うのか、旋回性を得た上で走行安定性に影響しないのか、トラクションを感じるには今の長さ(自由長)を含め、ピボットからテコの原理でレートの違うサスペンションスプリングを使用し、路面追従性能をアップさせ、リアショックの取り付け幅から角度、高さ、セット長まで、すべてを含めて変更可能なので、セッティングの幅を広げて改良出来る可能性があります。
スイングアームはサスペンションと同じ仕事を受け持つ、重要なパーツなんですね。